三角刀、丸刀、平刀、彫刻刀 それぞれの彫り味を生かして、不二山 という一版一色刷りの作品を作ってみます。 そして、表からの手彩色、裏からの手彩色を試してみました。
下絵
6Bの鉛筆を使って、どこにどの刀を使うか計画しながら、下絵を描いてみました。
版木に直接 下絵を転写 / 墨入れ
次に、スケッチブックに描いた下絵を直接版木に転写します。 下絵を版木に伏せて上からスプーンの腹で擦ります。
このままですと、版木に転写された下絵はあまりはっきりとしません。 墨で下絵を上描きしてはっきりさせます。 これを墨入れと言います。
彫り / 板ぼかし
この彫りの段階で、見当を付けておくことをおすすめします。 たとえ、一版一色刷りでも、濃淡を付けたかったり、刷りが失敗しても、もう一度 刷ることができるからです。
下絵には、空、雲、不二山、湖、森、樹木 の部分があります。 どの刀で彫るのが、その部分の表現にあっているか?を考えてみます。。。 空は、平刀で板ぼかし風に、雲もふわりと板ぼかし、不二山はくっきりと裾野は森との境を板ぼかしで、湖は丸刀で遠近をつけて、森の樹木は三角刀で、、、と決定しました。 板ぼかしは、平刀でなだらかな坂を作るように彫ります。
彫りの確認 / 刷り
刷りの前に、版木がどんなイメージで彫れているか、確認してみましょう。 刷って確認してもよいのですが、湿った版では、木が柔らかいので彫りが難しくなるからです。 薄い紙を版の上に置き、釣鐘墨やパステルで擦ります。 これは、このままで、フロッテージ作品ですよね。 確認して、不十分なところはもう一度彫りを修正して、刷りに進みます。 あとは、べた刷りで出来上がりです。
手彩色をするにあたって、不二山を赤冨士にしたいと思い、画像左のように不二山の頂きのところを丸刀で、森の部分を平刀で少し彫りすすめました。 そして、薄い美濃紙を使って刷ります。 紙が薄いので湿し過ぎに気をつけます。 そして、刷り上げた作品に直接
色をつけていきます。 表と裏から試してみました。 裏手彩の方が淡い色合いになります。 裏手彩は棟方志功がねぶた祭りの出し物をヒントに、もっともよく使った表現方法です。
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